ダーリンが海外で仲良しになった友達と、

夕食をしてきた。


外国人と殴り合いのケンカをしたという情報から、

いったいどんな人が現れるのだろうとドキドキしていたけれど、

駅に到着したご夫妻は、とても礼儀正しく、

とても気配りのできる素晴らしい方だった。


奥さんの方は、幼い頃から海外で育ち、

大人になって日本で保育士の仕事をしていたけれど、

恵まれた環境の中で育っている子供達と接していることに違和感を感じたらしく、

発展途上国の子供達の世話をするために海外へ。

旦那様とはアフリカで知り合ったそう。


その後夫婦は海外で活動し、

ほとんどボランティアみたいなことをして途上国を旅している。


彼らが行く場所は、

日本のように、電気も水も当たり前に供給されず、

予告無く停電、断水は当たり前、

シャワーからお湯が出てくるのも当たり前ではない。

暑くても寒くても、とりあえずは我慢だ。


日本に住んでいて、

すべてが当たり前に供給される環境に慣れている私には想像できないなぁ。


奥さんは子供が大好きで保育士になったのだけれど、さすがプロ。

わずかな時間でソラのハートをわしづかみし、

めったに他人の膝の上になど乗らないソラが、

ずっとご機嫌で奥さんの膝に乗ったまま遊んでもらっていた。


こんな風に、上手に子供と遊ぶ人を目の前にすると思う。

子育てって向き不向きがあるよな~と。

子供産んだからって、誰もが子供を育てられるわけではないし、

産んでみたけど私には合わなかったって言う人がいてもおかしくない。


時々ニュースで、パンダとかライオンの母親が

子供を食べちゃったり、子育て放棄しちゃったりするのを見る。

動物園とかでそれだけあるなら、

自然の中ではもっとあるんじゃないかなぁ。


人間は本能とは別のところでいろんなことを考えて生きているから、

もしも育児放棄とか、子殺しとかしたくなったとしても、

そう言う感情は理性で抑え、

気づかなかったこと・・・、にできるだろうけれど・・・・・・。



私の友達に、子供を愛せないと言う子がいる。

3歳くらいまでは子供が可愛かったのだけれど、

だんだん子供が手を離れていくに連れて、

子供が邪魔になって来たと言っていた。


以前、

自分がイライラしている時に

子供が食事で服を汚し、その後に牛乳を倒したことがあり、

彼女は、子供が泣いて震えるまで殴り続け

おびえた息子に気づくまで

気持ちが治まらなかった自分が怖かったと言っていたことがあった。


さすがに自分でもマズイと思ったのか、

生理の前は実家に子供を預けて、自分を保っているそうだ。


彼女は、

「私は子育てに向いてない。

自分より子供を優先に出来ないし、

自分が何かをするときに、

子供が理由でできなくなることがわずらわしい。」


と言っていた。


彼女は子供を産むまで

自分の回りに小さい子がいなかった。

近所にも親戚にも。

だから、育児がどういうものか、想像も出来なかったし、

産まれた子は男の子で、

とにかく1日中泣いているような育てにくい子だった。

自分の思い描いた「赤ちゃんのいる生活」はそこにはなく、

苛立ちと孤独、罪悪感と不安しかなかったと言う。


出産するまでつわりがあって、

妊娠中も出産後も、楽しいことがひとつもなかったと言う。


彼女は、自分が優しい母親になれないことに

罪悪感を抱き、自分の愛情の無さが

子供に悪影響を及ぼすのではないかと悩んでいたこともあった。

しかし彼女はそれでも、自分を犠牲にはできないのだ。



彼女は子供を愛してはいないと言うけれど、

子供の食事や洗濯、掃除、学校の行事にも参加して

育児をすべて放棄しているわけではない。

子供に対する義務は果たしている。


ただ、世間が母親に対して期待するような愛情を

子供に注げないだけだ。


でも、私は思う。
それで充分じゃないかと思う。


世間から期待されているような愛情を注げないことが、

もしかして子供の成長になんらかの影響を与えることがあったとしても、

結果的にそれが全部母親の責任だとは言い切れない。

子供はゼロで生まれてくるわけではなく、

一人で育てるのではないのだから。


父親や祖父母、その他の大人と共に

みんなで育てるのだから、

自分が期待されるような愛情を注げないことを気に病むことは無いんだ。


母親だからって、誰もが無償の愛を子供に注げるわけではない。

子育てに犠牲になることはなくて、

子供を保護し、見守ることが出来れば、とりあえずはいいんじゃないかと思う。


愛せないことを、気に病むことはないんだよ。

自分の子供だけど、自分じゃない人間なんだから。

お互いに、心地よい距離があって当たり前なんだ。